BPO(業務プロセスアウトソーシング):委託前にプロセスを把握する
業務プロセスアウトソーシングでは、業務プロセスを外部の委託先に委ねます。業務の実態を測定して改善点を見直し、委託元と委託先が同じダッシュボードで状況を確認できるようにします。
業務プロセスアウトソーシング(BPO)とは、業務プロセスの運営を外部の委託先に任せることです。BPOでは、まず現状のプロセスを測定し、改善できる点を見直したうえで、委託先と双方が業務の実績を確認する方法を決めることが重要です。これにより、提案を比較する基準となるベースラインと、契約を管理するための共通認識を持てます。
委託先は、引き渡されたプロセスをもとに料金を見積もります。測定しなければ、料金のうち、避けられる承認や手戻り、引き継ぎにどれだけ費用がかかっているのか分かりません。後から比較する基準もありません。
このページで提案する順序は、**プロセスを測定し、改善できる点を見直してから、残った業務を委託するか決めることです。**アウトソーシングが適切な選択肢となる場合もあります。大切なのは、業務の実態を踏まえて判断することです。
業務プロセスアウトソーシングとは?
業務プロセスアウトソーシングとは、業務プロセスの実行を外部の委託先が担う契約形態です。請求書処理、受注管理、保険金請求の処理、顧客の利用開始手続き、給与計算、債権回収、ITサービスの依頼などが対象になります。
業務プロセスアウトソーシングのサービスには、プロセスの実行に必要な人員やキャパシティに加え、処理時間や正確性などのサービスレベルに関する約束、取引件数や人員数に基づく料金が含まれる場合があります。業務プロセスアウトソーシング(BPO)サービスの契約では、人員、ツール、報告に関する取り決めがまとめられますが、プロセスを理解する責任は引き続き自社にあります。
シェアードサービスもアウトソーシングも、依頼元の事業部門から業務を移す点は共通しています。実務上の違いは、業務を担う人を誰が雇用するか、また業務の進め方をどの程度自社で管理できるかです。
BPOはソフトウェアの購入とは異なります。ソフトウェアは自社のチームが業務を行うためのツールを提供しますが、BPOでは委託先と契約し、合意したサービスレベルに沿って業務を実行してもらいます。組織には引き続き、プロセスを理解し、適切な実績を定義し、その根拠となる情報にアクセスできるようにする責任があります。
組織がアウトソーシングを検討する理由はいくつかあります。
- **コスト:**委託先は、ニーズに合った規模やコスト構造で業務を実行できる場合があります。
- **注力領域:**業務を外部に移すことで、チームが他の優先事項に取り組みやすくなる場合があります。
- **対応力:**委託先が、自社内で確保するのが難しい専門知識、対応言語、稼働時間を提供できる場合があります。
これらの理由だけでは、現在の状態のままプロセスを移管すべきかどうかは判断できません。業務をそのまま移すことは、いわゆるリフトアンドシフトです。同じ承認や例外処理、引き継ぎが新たな費用とともに委託先へ移ります。
BPOの委託前に測定する理由
引き渡すプロセスによって、委託先が担う業務と期待できるサービスレベルが決まります。測定済みのベースラインがなければ、提案を評価したり、契約上の基準に合意したりするのは困難です。処理件数の問題と効率の問題を見分けるのも難しくなります。処理件数が多いプロセスと、不要な確認や繰り返し作業で遅れているプロセスでは、検討すべき選択肢が異なります。
業務プロセスアウトソーシングをどのように定義する場合でも、作業の順序が料金を左右します。まずプロセスの実態を把握し、取り除ける作業を見直してから、最初の状態ではなく、改善後のプロセスを入札にかけます。最初の請求書が届いてからではなく、RFPの発行前に見直しましょう。
RFPの前に測定すべき3つの数値
BPOの業務プロセスに関するRFPを発行する前に、手順書ではなく、実際のプロセスデータから次の3つの測定項目を設定します。
- **処理件数:**プロセスが扱うケースの数と、時間の経過に伴う件数の変化です。キャパシティや料金について話し合う際の基準になります。
- **サイクルタイム:**ケースの開始から完了までにかかる時間と、その時間の内訳です。待ち行列を把握するには、平均だけでなく内訳も確認してください。
- **手戻り:**ケースが前の手順に戻る頻度と、それによって発生する作業量です。手戻りは、必要な作業量と約束できるサービスレベルの両方に影響します。
ケースID、アクティビティ、タイムスタンプを記録するシステムでプロセスを実行している場合、必要なデータはすでに存在します。プロセスマイニングを使うと、イベントログから処理経路や待ち時間、繰り返しの状況を把握できます。プロセスを説明するだけでなく、実態を示せるようになります。必要なデータについては、プロセスマイニングの実行に必要なものをご覧ください。
契約締結前にプロセスインテリジェンスでできること
プロセスマイニングでは、ケースがどの経路をたどり、どこで待ち、どれほどの頻度で作業が繰り返されるかを確認できます。文書化されたプロセスと照らし合わせると、適合性チェックの結果が分かります。モデルには本来の進め方が示され、イベントログには実際の進み方が記録されており、その差にコストが生じていることがよくあります。プロセスインテリジェンスは、共有できるダッシュボードの基盤となるデータを提供します。また、シミュレーションを行えば、変更を契約条件に盛り込む前に影響を確かめられます。
契約締結前に確認できる3つの問い:
- **委託先が引き継ぐバリアントはどれですか?**引き渡すバリアントはすべて、費用のかかる業務です。正当な例外もあれば、慣習化したものもあります。
- **プロセスの見直しで何を削減できますか?**承認を2つ減らしたフローをシミュレーションし、ベースラインと比較します。そうすれば、入札にかける範囲を改善後のプロセスにできます。
- **双方が提示する測定項目はどれですか?**ダッシュボードで数値を定義すれば、双方が同じ方法で算出した値を確認できます。
こうした取り組みが委託先との関係に取って代わるわけではありません。交渉の焦点を変えるものです。数値をめぐって議論するのではなく、その数値の背景にある業務を双方で確認できるため、対象範囲やサイクルタイム、手戻りの原因となる手順について話し合えるようになります。
アウトソーシングの前に見直すべき業務
プロセスを測定したら、委託する範囲を決める前に、削減または簡素化できる作業を探します。
- どのような承認があり、それぞれの判断を誰が担っていますか?
- 別のシステムがすでに行っている確認を繰り返していませんか?
- チーム間の責任が曖昧なために、引き継ぎが発生していませんか?
- 同じ情報を複数のシステムに入力していませんか?
- ケースが例外経路をたどる頻度と、その理由は何ですか?
回答を整理すると、必要な作業と、社内ルールやシステムの制約、定着した慣習による手順を区別できます。データから見つかったバリアントにも、同じ問いを当てはめてください。手順書ではまれに見える例外が、イベントログではよくある経路として現れることがあります。
プロセスを見直すことは、業務を社内に残すという意味ではありません。委託先が担う業務を把握し、現在のプロセスと比較できるようにすることです。見直したフローを入札に提示しましょう。シミュレーションで確認した変更であれば、稼働開始後に検証でき、委託先も推測に頼らず料金を見積もれます。
委託先に任せる業務と、自社の責任として残す業務
標準化され、需要が予測しやすい業務や、社内にない対応力が必要な業務は、委託先に任せるのが適している場合があります。次のようなプロセスを移管する際は、特に慎重に検討してください。
- **プロセスの進め方を把握できていません。**要件の説明や実績の評価、プロセス変更への対応は、引き続き自社で行う必要があります。
- **手戻りが多く発生しています。**手戻りをベースラインに含め、サービスレベルや料金への影響を明確にしてください。
- **社内ルールがコストを左右しています。**委託先はルールに従えますが、変更するかどうかは自社で決めます。
- **責任の所在が明確ではありません。**業務を社内に残す場合も委託する場合も、要件の設定、変更の承認、結果の監視を誰が担うか決めてください。
アウトソーシングでは、合意した条件のもとで業務を実行する責任を移します。プロセスを理解する必要までなくなるわけではありません。
委託先と顧客が同じ測定項目を確認するには?
多くのアウトソーシング契約では、2つの報告体系が使われています。自社のチームが数値を出力し、委託先が別の数値を報告するため、レビュー会議は数値の照合に費やされます。解決策は、プロセスと測定項目を別々のレポートにするのではなく、双方で共有することです。
ProcessMindでは、プロセスを1か所で管理し、委託先の担当者も閲覧できます。ポータル閲覧者は無料の読み取り専用権限です。業務を担う担当者は、モデリング用のシートがなくても、公開済みのモデルや文書化資料、ダッシュボードを確認できます。下書きの内容は表示されません。データセットにアクセスできる人は誰でもダッシュボードを確認できるため、契約で定めたビューを双方が参照できます。
このビューを維持するための習慣は2つあります。
- **測定項目ごとに定義を1つ決めます。**名前だけでなく、算出方法にも合意します。どのタイムスタンプから計測を始めるか、待ち時間を含めるか、1ケースをどう定義するかを決めてください。製品では、時間指標と指標で定義を管理します。
- 各数値の根拠となるビューを保存します。プロセスのブックマークには、数値の算出に使ったフィルターや設定が保存され、リンクとして共有できます。「このサイクルタイムはどのケースから算出したのか」という問いにも、会議を設定せず、同じビューを開いて答えられます。
共有ビューは、処理件数とサイクルタイム、手戻りとその原因となるバリアント、文書化されたプロセスとの適合性の差に絞り、安定した状態に保ちます。契約で参照するフィルターを設定して一度作成し、レイアウトを維持してください。毎月変わるダッシュボードでは、サービスレベルについて話し合うための基準になりません。
共通のビューは契約開始後も役立ちます。レビューで確認する測定項目はダッシュボードにも表示されるため、実績について意見が分かれても、どちらのレポートが正しいかではなく、プロセスについて話し合えます。プロセスガバナンスによって、その根拠となる記録も正確に保たれます。責任者を明確にした公開済みの版を1つ管理します。
私たちが目にするアウトソーシングの意見の食い違いは、委託先の対応力が原因であることはほとんどありません。2つの組織が1つのプロセスを別々の数値で測定し、その差の説明に会議の時間を費やしてしまうことが原因です。顧客と委託先が同じプロセス、同じモデル、同じダッシュボードを確認できれば、話し合いは大切な問いに戻ります。どの手順を見直すべきか、そして業務を本当に移管すべきかという問いです。
BPOの契約について、委託先に確認すべきこと
ベースライン、共有ビュー、データの権利、契約終了時の条件を明確にするため、次の点を確認してください。
- **契約ではどのベースラインを使いますか?**対象範囲、測定項目、データ、算出方法を定義し、提案の前提がベースラインとどう関係するか確認してください。
- **何をどの頻度で報告しますか?**総処理件数だけでなく、必要に応じてサイクルタイム、手戻り、プロセスのバリアントも含めてください。
- **双方で確認するダッシュボードはどれですか?**共有ビューとその管理者を決め、レポートの数値から定義を確認できるようにしてください。
- **プロセスデータの所有者は誰ですか?**イベントデータに対する権利と、契約期間中に作成されるレポートや文書化資料に対する権利を明記してください。
- **改善による効果をどのように分け合いますか?**処理件数、手戻り、作業量の変化が料金やサービスレベルにどう影響するか合意してください。
- **契約終了時に何を受け取れますか?**業務の継続や移行に必要なプロセス文書化資料、データの履歴、その他の合意済み資料を明確にしてください。
これらの条件を定めることで、委託先の報告を合意したベースラインと比較でき、プロセスの変更時や契約終了時の対応も明確になります。
アウトソーシングの前にすべきこと
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プロセスを測定する
まず、システムがすでに記録しているデータを使い、手順書ではなくケースの記録から処理件数、開始から完了までのサイクルタイム、手戻りを測定します。 -
RFPの前にプロセスを見直す
結果を変えずにコストだけを増やす承認や確認、引き継ぎを取り除き、変更内容を説明する前に効果を検証します。 -
改善後のプロセスを見積もる
提案を同じ業務内容で比較できるよう、見直したフローを入札に提示します。 -
測定項目とビューに合意する
測定項目ごとに定義を1つ決め、共通のダッシュボードを用意します。各数値の算出に使ったフィルターもビューとして保存します。 -
同じビューでレビューする
契約のレビューでは共通のダッシュボードを使います。サイクルタイムや手戻りの変化を、報告方法ではなくプロセスの問題として話し合えます。
ソフトウェアと外部委託先のどちらを選ぶか検討している場合は、BPMSとは何かをご覧ください。分析については、プロセス分析の文書を、導入効果については、プロセスマイニングのビジネスケースをご覧ください。
RFPに提示するベースラインを作成する
You are comparing a provider's price with fixing the process yourself, and both answers depend on how the process runs today.