プロセスインテリジェンスでサステナビリティの主張を裏付ける方法
報告書のサステナビリティ指標を、根拠となるプロセスイベントまでたどる
サステナビリティ報告に業務データが必要な理由
プロセスインテリジェンスを使えば、報告する環境指標を、その算出に使ったプロセスのアクティビティや元データのイベントと結び付けられます。
報告書には、あるプロセスで一定量のCO₂や廃棄物が発生したと記載されることがあります。その数値の意味を説明するには、対象範囲、計算方法、根拠となるデータが必要です。
イベントログには、どのアクティビティがいつ発生し、どのケースに属するかが記録されます。データセットに環境値を含めると、ケース、プロセスバリアント、報告期間ごとに値を調べられます。
これにより、報告書の数値から根拠までをたどれます。対象となる指標、アクティビティ単位の値、対象ケースとアクティビティを特定する元データのイベントを確認できます。ただし、主張できる範囲は、入力データの品質と網羅性によって決まります。
サステナビリティは、ほかの多くの目標より優先される数少ないテーマの1つです。子どもたちに、これからも健やかに暮らせる世界を引き継ぎたいと考えています。ProcessMindでサステナビリティに取り組んでいる方は、ぜひご連絡のうえ、データから分かったことをお聞かせください。
環境指標の把握にプロセスデータをどう役立てられますか?
適切な環境データがあれば、プロセスデータから調査すべき傾向を見つけ、関連する結果を追跡できます。
プロセスデータだけで環境への影響を減らせるわけではありません。業務の実態を示し、資源の使用、手戻り、輸送、待ち時間がプロセスのアクティビティとどう関連しているかを調べる手がかりになります。
たとえば、プロセスバリアントを比較し、アクティビティのパターンの違いが、記録されたエネルギー量や材料の値の違いと対応しているかを調べられます。結論は、値の根拠となるデータと計算方法に左右されます。
資源とエネルギーの使用
データセットにアクティビティごとのエネルギー使用量が含まれていれば、ケースやプロセスバリアントを比較し、記録された消費量にどのような違いがあるかを確認できます。
プロセスログから、一部のケースで機械に関連するアクティビティに時間がかかっていることが分かる場合があります。その傾向を手がかりに、稼働時間、待機時間、プロセスの違いがエネルギー使用量と関連しているかを調べられます。
イベントログには、アクティビティが発生した時刻が記録されます。データに電力使用量が含まれているか、文書化された計算で算出されていない限り、電力使用量を測定することはできません。
手戻りと廃棄物
アクティビティの繰り返しから、ケースが前のステップに戻っている箇所を把握でき、手戻りの可能性を調べる手がかりになります。
繰り返しの回数を数え、該当するプロセス経路を比較できます。信頼できる材料や廃棄物の値がアクティビティに紐付いていれば、記録された量も比較できます。
アクティビティの繰り返しは、繰り返しがあったことを示す証拠であり、特定量の材料が廃棄された証明ではありません。
輸送と待ち時間
プロセスデータから、引き継ぎ、遅延、アクティビティ間の長い空白を把握できます。こうした傾向を調べることで、物品や人が待機している場所や、移動が発生している可能性のある箇所を特定できます。
移動による排出量を算出するには、移動距離、輸送手段、排出量に関するデータが必要です。プロセスログだけでは、これらの値を確定できません。
ケースあたりのCO₂排出量はどのように計算しますか?
対象となるプロセスと報告期間を定め、各ケースのイベントに割り当てられたアクティビティ単位のCO₂値を合計すると、ケースあたりのCO₂排出量を計算できます。
まず、プロセスイベントを特定でき、分析対象の環境値を含むデータセットを用意します。次の項目を含めると便利です。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| ケースID | イベントが属するプロセスインスタンス |
| アクティビティ | イベントに記録されたプロセスのステップ |
| タイムスタンプ | イベントが発生した時刻 |
| CO₂値 | アクティビティに割り当てられた排出量 |
| CO₂の単位 | kg CO₂eなどの単位 |
| 出典または計算方法 | 値の出典、または計算方法 |
単位と計算方法を統一してください。値のないアクティビティがある場合は、その扱いを文書化します。根拠なく欠損値をゼロとして扱わないでください。
計算例:ケース単位の数値をたどる
ケースC-104に記録されたアクティビティが3つあり、それぞれのアクティビティ単位のCO₂推定値がデータセットに含まれているとします。
| ケースID | アクティビティ | CO₂値 | 出典 |
|---|---|---|---|
| C-104 | アクティビティA | 0.4 kg CO₂e | アクティビティ単位の推定値 |
| C-104 | アクティビティB | 0.7 kg CO₂e | アクティビティ単位の推定値 |
| C-104 | アクティビティC | 0.3 kg CO₂e | アクティビティ単位の推定値 |
このケースの合計は1.4 kg CO₂eです。C-104の3つの元データのイベントから合計値をたどり、タイムスタンプとアクティビティを確認できます。また、各値に記録された出典や計算方法も確認できます。
これは計算例であり、ProcessMindの顧客について実測した結果ではありません。報告書には、プロセスの対象範囲、報告期間、単位、データの出典、アクティビティの値が実測値か推定値かを記載してください。
ProcessMindでは、CO₂の影響を扱うデータセット項目を設定できます。計算できる内容は、設定した項目と元データによって決まります。プラットフォームが排出量を独自に測定するわけではありません。関連項目の準備については、データセット設定の文書をご覧ください。
ESGに関する主張を監査可能にするには
監査可能な主張には、指標、対象範囲、報告期間、単位、対象アクティビティ、環境値の割り当て方法を明確に定める必要があります。
報告する結果を、その根拠となるデータと結び付けてください。どのアクティビティが数値に寄与したかを確認できるよう、ケース識別子と元データのイベントを保持します。
環境値ごとに出典または計算方法を記録し、データと前提条件を説明できる担当者を決めます。項目の定義、マッピング、計算ルールの変更も記録してください。
ダッシュボードを使うと結果を確認しやすくなりますが、根拠となる情報の代わりにはなりません。実測値と推定値を区別し、解釈に影響する制約を説明してください。結果をダッシュボードに表示し、プロセスデータと合わせて確認することもできます。
プロセスインテリジェンスでは分からないこと
プロセスインテリジェンスは提供されたデータを分析するもので、計測器でもライフサイクルアセスメント(LCA)でもありません。
イベントデータから、どのアクティビティがいつ記録されたかを確認できます。一方、エネルギー使用量、材料の量、移動距離、排出係数を独自に検証することはできません。
CO₂の数値の信頼性は、入力データと計算方法に左右されます。アクティビティ単位の値が推定値なら、結果も推定値です。データセットにプロセスの一部が含まれていない場合、結果が示すのは含まれている範囲だけです。元データのイベントが不完全だと、追跡できる範囲も限られます。
環境に関する説明は、根拠に基づき、具体的に記述してください。関連データがあれば、プロセス分析を通じて調査すべき箇所を特定し、経時的な変化を追跡できます。ただし、それだけで組織がより広範な環境目標を達成したと証明できるわけではありません。
サステナビリティのためのプロセスインテリジェンスを始めるには
まず、報告が必要なサステナビリティ指標を1つ選び、対象プロセスを1つに絞ります。そのうえで、データから計算できるかを確認してください。
対象範囲と報告期間を定めます。データセットに必要なケース、アクティビティ、タイムスタンプ、環境関連の項目が含まれていることを確認し、単位と計算方法を文書化してください。
項目の計画には、データセット設定の文書をご利用ください。プロセスインテリジェンスが継続的改善にどう役立つかを知りたい場合は、プロセス改善手法のガイドをご覧ください。
Where to Go From Here
報告値と、その根拠となるデータセットがそろっています。次は環境関連の項目を設定し、結果を元のイベントまでたどって、ダッシュボードで確認します。