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プールとスイムレーンの基本解説

はじめに

BPMN 2.0では、poolswimlanelaneとも呼ばれる)によりプロセスを整理し、ビジネスプロセスに関わる役割・部門・組織体を視覚的に示します。これにより、誰がどのタスクを担当し、参加者間でどのようなインタラクションがあるか明確になります。

ProcessMind BPMNのrolesとresponsibilitiesを示すpools・swimlanesの可視化

Pools

  • 目的poolはプロセスの主要な参加者や、組織・システム・ビジネスパートナーなど広い単位を表します。poolによりプロセス境界が明確になり、異なるpoolで組織や部門の連携をモデル化できます。

  • ビジュアル表現:poolはひとつのプロセス全体を囲う大きな四角いコンテナです。複数のswimlane(lane)を内包できますが、各poolは別の参加者またはプロセスを示します。

  • :1つのpoolが「Company A」、もう1つのpoolが「Company B」となり、両社のやり取りをモデル化できます。

  • 活用例:企業が外部ベンダーやパートナー、顧客とやり取りする場合など、異なるエンティティ間の連携モデルに使われます。各エンティティごとにpoolを作り、pool間のmessage flowでコミュニケーションを表現します。

Swimlanes(Lanes)

  • 目的: Swimlane(またはLane)は、Pool内を役割・部門・システムごとに分割し、プロセスを整理するための区分です。誰がどのタスクを担当するかが一目でわかります。

  • 視覚的表現: Pool内を水平や垂直に分割し、各Laneに部門・役割・システムなど異なる参加者を割り当てます。

  • : 企業のPool内に「Sales」「Finance」「Customer Support」などのLaneを設け、各部門ごとにタスクを割り当てます。

  • ユースケース: LaneはPool内でタスクの担当を割り振り、各作業の責任範囲を明確にします。例えば請求書処理タスクは「Finance」Lane、問い合わせ対応は「Customer Support」Laneに配置します。

外部参加者向けのProcessMind BPMNコラプスPoolアイコン

Collapsed Pool

  • 目的Collapsed poolは、プロセス参加者(企業、部門、システムなど)を表し、内部のプロセスフローを表示しません。他の参加者とのやり取りを示す際、内部ワークフローを公開しない場合に利用します。

  • ビジュアル表現:内部アクティビティのない大きな長方形で、通常は参加者名のみ表示されます。他参加者とやり取りする場合、message flowが出入りします。

  • :会社とサプライヤーのやり取りを示すダイアグラムで、会社側のプロセスは詳細に表示し、サプライヤー側はcollapsed poolで表現し、内部プロセスを非公開で関与を示します。

  • 活用例:複数参加者のやり取りを可視化したいが、一部の詳細プロセスは必要ない場合に便利です。例として、顧客が外部ベンダーとやり取りする際、ベンダーの内部手順は非表示にし、インタラクションのみ示す場合などです。

主な特徴

Pools

  • プロセス間のインタラクション:複数のpoolをモデル化する際は、message flowで参加者間のコミュニケーションを示します。顧客がサプライヤーに注文を送る場合、それぞれのpool間のmessage flowで表現します。
  • 独立したプロセス:各poolは独自プロセスを持ち、他poolのプロセスとは独立していますが、message flowで連携を表すこともできます。

Swimlanes(Lanes)

  • 責任と組織化:pool内のlaneは様々な参加者、役割、部門を表し、各種タスクの担当を分けます。同一組織やエンティティ内での責任を明確化します。
  • タスク割り当て:タスクをswimlane別に整理することで、どの部署や人がどのパートを担当するかを直感的に把握できます。

Collapsed Pool

  • 参加者表現:collapsed poolはプロセス参加者を、内部workflowを非表示で表します。外部組織や部門、関係者すべてが該当します。
  • 内部アクティビティ非表示:pool内部にアクティビティやタスクはありません。内部プロセスが非公開、または不必要であることを意味します。
  • インタラクション重視:collapsed poolではmessage flowを通じて他参加者とのやり取りに重点を置き、内部手順の詳細は重視しません。
  • 境界の可視性:内部プロセスが省略されても、参加者の境界は明確に描画され関与が示されます。
  • シンプルな表示:externalプロセスの詳細を除外することで図を簡潔にし、やり取り・コミュニケーションへ注力できます。

Examples

Poolの例:サプライチェーンプロセスでは、

  • 1つのpoolが「Supplier」、もう1つのpoolが「Customer」を表します。
  • 「Customer」pool内では注文実施、「Supplier」pool内では受注処理や出荷などが行われます。
  • pool間のmessage flowで、注文依頼や出荷確認などの情報交換を示します。

Swimlaneの例:企業内プロセスでは、

  • 1つのpoolとして「Company XYZ」があり、
  • その中のswimlanesが「Sales」「Operations」「Accounting」など部門を表します。
  • 「Accounting」laneに「Generate Invoice」、「Operations」laneに「Prepare Shipment」など、タスクが割り当てられ、担当範囲が明確になります。

Collapsed Poolの例:国際ビジネス連携では、

  • 「International Partner A」「International Partner B」をそれぞれcollapsed poolで表し、
  • 各partner内部のプロセスは省略します。
  • collapsed pool間のmessage flowで、「Partner A」から契約提案を送信し、「Partner B」が署名済み契約を返す、といったやりとりを可視化します。
  • 焦点は両者のやりとり・コミュニケーションであり、各自の内部手順の詳細ではありません。

ポイントまとめ

  • Pools:

    • 企業・部門・システムなど独立した参加者を表します。
    • 異なる組織・エンティティ間のインタラクションをモデル化します。
    • 各poolは完結したプロセスを持ち、message flowで他poolと連携します。
  • Swimlanes(Lanes):

    • pool内の区分で、同一組織内の役割・部門・システムを示します。
    • タスク整理や特定アクティビティの担当明示に使います。
    • 同一プロセスでの担当割り振りを明確にします。
  • Collapsed Pools:

    • プロセスに参加するが、内部アクティビティが非表示・不要な参加者を表現します。
    • 参加者間のやり取りに注目し、内部詳細を省略することで図をシンプルにします。
    • 主にコミュニケーションや外部とのやりとりのみモデル化したい場面で利用します。
    • collapsed poolと他参加者のcommunicationはmessage flowで示します。
    • 内部情報省略で図を簡略化しつつ、参加者間のinteractionを明示します。

利用シーン

  • Pools: 企業とサプライヤーや顧客など、異なる組織同士のやり取りをモデリングする際に使います。
  • Swimlanes: 1つの組織における各部門や役割がワークフローへどう参加するかを表現する際に利用します。
  • コラプスPool: 外部参加者とやり取りする際、サービス提供者の内部工程を省略し、主にコミュニケーションにのみフォーカスしてモデル化します。

Example

[POOLSとSWIMLANESの例:画像プレースホルダー]

  • Pool 1:「Customer」

    • Lane 1:「Sales Department」(Task:「Submit Order」)
    • Lane 2:「Accounting Department」(Task:「Send Payment Confirmation」)
  • Pool 2:「Supplier」

    • Lane 1:「Warehouse」(Task:「Prepare Shipment」)
    • Lane 2:「Billing」(Task:「Issue Invoice」)

このダイアグラムでは、Customer poolがSupplier poolとmessage flow(例:「注文送信」「請求書受領」など)で連携します。各pool内のタスクは部門ごとのLaneに割り当てられています。

Poolsやswimlanes(lane)は、複雑なビジネスプロセスの構造化に不可欠です。異なる組織・役割が全体workflowへどのように貢献しているかを明確に示し、社内外の責任分担もはっきりさせます。