Data Updated 2026年9月27日
プロセスマイニングのコネクタが役立つ場面
プロセスマイニングのコネクタは、導入や保守の手間に見合うのでしょうか。既存のデータ出力から始められるデータテンプレートについても解説します。
プロセスマイニングのコネクタが約束することと、そのコスト
すぐに使えるプロセスマイニングのコネクタなら、業務システムに接続してデータを抽出し、定期的に更新するだけで、すぐに分析を始められるとうたっています。利用中のシステムに対応し、データ要件にも合っていれば、効果的な方法です。ただし、いつでも接続するだけで使えるとは限りません。システムの設定やデータモデル、セキュリティ要件に加え、何を明らかにしたいのかも確認する必要があります。
コネクタの構築や設定には、項目のマッピングや結果の検証、カスタムワークフローやシステム変更への対応が必要になることがあります。データチームがすでに信頼できるデータセットを管理している場合、新しいコネクタによって既存の仕組みを引き継ぐのではなく、作業が重複する可能性があります。
導入後も作業は続きます。パイプラインの保守や変更時のトラブル対応、コネクタによるデータ変換の把握が必要です。こうした作業で初回の分析が遅れるなら、コネクタの利便性にもコストが伴います。
コネクタで確認すべきこと
説明は簡潔です。システムを指定してボタンを押せば、整形済みのデータが得られ、更新もスケジュールできます。これで完了です。しかし、実際の作業の多くは、この簡潔な説明では触れられていません。
- **システムは標準構成とは限りません。**コネクタは特定のソフトウェアの特定バージョン向けに作られます。一方、企業では項目の追加やワークフローの変更、テーブル構成の変更が行われます。10年にわたって変化してきたシステムが、教科書どおりの構成と一致するとは限りません。
- **コネクタがすべてに対応するとは限りません。**あらゆる分析に対応するコネクタは、実際には使わない特殊なケースまでサポートする一方で、解決したい課題には対応できないことがあります。
- **複数テーブルの複雑さ。**多くのコネクタは、関連する複数のソーステーブルを前提としています。業務プロセス、コネクタのデータモデル、ソースシステムのデータモデルを把握し、それぞれの対応関係を理解する必要があります。
- **中身の見えない仕組みは信頼しにくいものです。**問題が起きても、内部を確認できません。ソースデータに誤りがあるのか、コネクタの変換に問題があるのか、それとも設定の問題なのかを判断できるでしょうか。内部が見えないままでは原因の調査が難しく、結果をもとに対応する人たちへの説明にも苦労します。
- **汎用的な名前は、読み替えの手間を生みます。**コネクタ上の「注文確認」をチームでは「受注確認」と呼んでいる場合、その後のやり取りでは毎回、用語を読み替えなければなりません。
実際にかかるコスト
技術面の作業は予算にも影響しますが、当初予定していた費目に計上されることはほとんどありません。
- **時間。**分析ではなく、データ抽出に何カ月もかかります。
- **費用。**コネクタのライセンス料に加え、設定を委託する費用もかかります。
- **機会。**パイプラインの構築中、改善の着手が遅れます。
- **意欲。**データ準備の段階でプロジェクトが停滞すると、チームの意欲が薄れていきます。
- **信頼。**初回のプロジェクトが予定を超過すると、関係者はプロセスマイニングの価値を疑うようになります。
以前、ある組織はベンダーのSAPコネクタを使えば「最初のインサイトまで3週間」と説明されていました。しかし、18カ月後もデータ品質の修正を続けていました。いつもこうなるわけではありませんが、よくある経緯です。だからこそ、コネクタを勧める前に費用を確認しています。
コネクタの導入が効果を発揮するのはどのような場合ですか
大量のデータを頻繁に繰り返し抽出する必要があり、ソースシステムが十分にサポートされている場合、コネクタは有力な選択肢です。また、組織で確立されたセキュリティやガバナンスの手順に沿った、管理されたデータパイプラインが求められる規制環境にも適しています。
こうした場合、同じデータ抽出を継続して繰り返せることが利点になります。コネクタがシステム構成とデータ要件に対応していれば、定期的な手作業を減らせる可能性があります。
導入を決める前に、対応するシステムのバージョンや構成、抽出するデータ、カスタマイズへの対応方法、メンテナンスの担当者を確認してください。システムやチームの業務に合わなければ、コネクタを導入しても効果は得られません。
私はこれまで何度かコネクタを構築しましたが、本当に効果があったのは1件だけです。同じシステムを使う顧客が500社あり、カスタマイズがほとんどないケースでした。それ以外では、計画上はよく見えても、解決する問題より多くの問題を招きました。だからこそ、コネクタを最初の手段にするのではなく、すでにあるエクスポートデータから始めます。
コネクタが必要以上になるのはどのような場合ですか
初めてプロセスに関する課題を検証する段階では、必要なデータや分析の有用性がまだ分からないことがあります。こうした点を確かめる前に定期的なパイプラインを構築すると、自動化する価値があるか分からないまま作業が増えてしまいます。
複数のシステムにまたがるプロセスの一部しか、コネクタでカバーできない場合もあります。その場合も、データの統合や名称の違いの解消、結果の検証が必要です。1つのアプリケーション向けのコネクタだけで、データ準備全体の問題が解決するわけではありません。
初回の分析では、手元にあるエクスポートデータで課題を検証できる場合があります。不足しているデータが分かってから、データセットを整えられます。
コネクタが要件に合う場合でも、次の3つのコストがかかります。
- **作業の重複。**多くの組織では、データチームが長年かけて品質上の問題を解決し、データウェアハウスやデータレイクに整備済みのデータを蓄積しています。コネクタで一からやり直すと、業務ですでに信頼されているデータとの不整合が生じることもあります。
- **ETLの落とし穴。**通常、コネクタにはベンダー独自のツールが付属します。チームはすでに運用し、使い慣れているインフラを使わず、独自システムを新たに習得することになります。
- **ベンダーロックインの検討。**構築に6カ月かかったパイプラインは置き換えにも費用がかかります。最初に導入を決める前に把握しておきたい点です。
リアルタイムのデータ抽出は、分析にも影響します。常に変化するデータセットではベースラインを設定しにくく、パイプラインの継続的な監視が必要になり、コンピューティング費用もかかり続けます。また、期間ごとの比較も複雑になります。月次更新で課題に答えられるなら、常時稼働のパイプラインはインサイトを増やさずにコストだけを増やします。
データテンプレートの仕組み
事前構築済みコネクタを最初の手段にするのではなく、手元にあるデータから分析を始められるよう、データテンプレートを用意しています。テンプレートには分析に必要な項目が記載されており、チームで準備できます。
プロセスガイドから始める
プロセス改善ガイドで対象のプロセスまたはシステムを検索してください。各ガイドでは、1つのプロセス、または特定のシステムで実行するプロセスを取り上げ、課題や目標、アクティビティ、データ要件に加え、ダウンロード可能なExcelテンプレートを紹介しています。
対象のプロセスがリストにない場合は、汎用データテンプレートをお使いください。どちらのテンプレートも、分析に必要な列があらかじめ決まっています。チームはスキーマを一から設計せずに、エクスポートデータから項目を入力できます。
Excelから始める
多くの分析は、ケースID、タイムスタンプ、アクティビティ名と、課題に関係する属性を含むスプレッドシートから始められます。アクセスできるデータをエクスポートし、テンプレートの形式に整えてアップロードすれば、分析を始められます。
アイデアを検証するために、完全に自動化されたパイプラインを用意する必要はありません。最初のデータセットには調整が必要な場合もあります。分析に必要なデータを把握するための過程の一部です。
イベントログを初めて作成しますか。 ExcelとSQLの例を使ってイベントログを作成する方法をご覧ください。
1つのテーブルから始める
多くの分析で、意図的に単一テーブルの形式を採用しています。
- **内容を確認しやすい。**スプレッドシートを開けば、誰でもデータの内容を確認できます。
- **作成しやすい。**最初の分析に取りかかる前に、テーブルの結合や関係の管理をする必要がありません。
- **分析時には、いずれにしてもデータが統合される。**複数のテーブルを取り込むツールでは、分析前に単一のイベントログが作成されます。
複数の視点やプロセスにまたがる分析が必要な場合は、ProcessMindで複数のテーブルを扱えます。ただし、最初から複数のテーブルを使う必要はありません。まずは課題に答えられる、最もシンプルなデータセットから始めてください。
データチームと連携する
データチームは、システムの設定や信頼できる項目、利用可能なデータを把握しています。明確なテンプレートがあれば、独自のデータモデルを習得してもらわなくても、必要なデータを具体的に伝えられます。
データチームは、SQLや既存のETLプラットフォーム、データウェアハウス、データレイクなど、使い慣れたツールやインフラを利用できます。並行するパイプラインを新たに構築せず、信頼できるデータを土台にできます。
イベントログの準備方法については、データ準備の文書をご覧ください。
AIによるマッピング支援を利用する
エクスポートデータの列名がテンプレートと一致しない場合があります。アップロード時に、ProcessMindはケースID、タイムスタンプ、アクティビティなどの項目を認識できることがあります。項目が正しくマッピングされなかった場合は、手動で調整できます。
事前にすべてのソースファイルを完全な形式に整えなくても、既存のエクスポートデータを使って分析を始められます。
実際のデータ更新方法
プロセスを定期的に監視する場合は、スケジュールに沿った更新が役立ちます。ただし、最初の課題への回答や、期間ごとの実績比較に、常時データを更新する必要があるとは限りません。
多くの分析では、計画した間隔で更新する安定したデータセットのほうが、結果を解釈しやすくなります。ベースラインを設定し、変更を加えた後、そのベースラインと結果を比較できます。適切な更新頻度は、プロセスの変化する頻度や、対応が必要になるまでの時間によって異なります。
まず、分析にどれくらいの頻度で新しいデータが必要かを決めてください。月次または四半期ごとの更新で課題に答えられるなら、リアルタイムのパイプラインを構築しても、作業が増えるだけで判断の質は向上しない可能性があります。
後から自動化が必要になった場合
必要なデータと分析の有用性を確認した後、データチームで繰り返し実行できるデータ読み込み処理を構築できます。ProcessMindには、そのためのREST APIがあります。チームがすでにスケジュールしているジョブから、エクスポートデータをアップロードして、新しいデータセットを作成したり、既存のデータセットを更新したりできます。認証方法とエンドポイントについては、APIの概要をご覧ください。
製品内にスケジューラーはありません。これは意図的な設計です。スケジュールや認証情報、監視は、チームがすでに運用しているインフラ内で管理できます。設定や監視の場所を増やす必要はありません。
何を自動化するかが決まる前に、自動化する必要はありません。まずはエクスポートデータで分析を検証し、定期的な読み込み処理を構築する価値があるか判断してください。パイプラインを構築する場合の検討事項については、プロセスマイニングにおけるETLをご覧ください。
事前構築済みコネクタを提供するベンダーを選ぶのはどのような場合ですか
対応するシステムからサポート対象のデータを定期的に抽出する必要があり、コネクタがシステム構成やガバナンスの要件に合う場合は、事前構築済みコネクタを提供するベンダーが適した選択肢になることがあります。特に、組織で特定の連携方式が求められる高頻度のデータ読み込みや、規制対象のパイプラインでは重要です。
選定前に、コネクタの対応範囲やカスタマイズへの対応方法、必要なメンテナンス、生成されたデータを確認して再利用できるかを確認してください。まず分析を試したい場合は、既存のエクスポートデータとデータテンプレートから始めるほうが簡単です。
選択時のポイントは明確です。コネクタは要件に合えば、繰り返し発生するデータ抽出作業を減らせます。一方、テンプレートを使えば、コネクタの構築を最初の作業にせず、手元にあるデータから始められます。データは引き続きお客様のもので、ロックインもありません。自動化するかどうかは後から判断できます。
Where to Go From Here
プロセスに合ったガイドから始めたり、エクスポートデータを1つ用意したり、プラットフォームがデータセットをどのように読み込むか確認したりできます。