プロセスマイニングで自動化のチャンスを見つける方法

この記事で学べること

プロセスマイニングと自動化(RPA)の本来の関係性、自動化のチャンスを見極める際のプロセスマイニングの活用法、そしてプロセスマイニングを単なる自動化ツール探しのために使うのがなぜもったいないのか、その理由を解説します。

自動化ブームの影に隠れた現実

「プロセスマイニング RPA」と検索すれば、プロセスマイニングこそが自動化への完璧なスタート地点であると説くベンダーのページが数多く見つかるでしょう。その言い分は魅力的です。プロセスマイニングでプロセスを可視化し、繰り返しの多いタスクを見つけ、それをボットに任せればいい、というものです。

物語としては美しいですが、これは少し言葉が足りず、誤解を招く恐れがあります。

現実には、自動化すべき明らかな業務は、わざわざマイニングしなくても現場ですでに把握されています。財務チームはシステム間のデータ転記に苦労していることを知っていますし、サポートチームは同じような問い合わせの手動振り分けに時間を取られていることを自覚しています。それらを見つけるために、大掛かりなプロセスマイニングを導入する必要はほとんどありません。

では、プロセスマイニングは自動化のどの段階で真価を発揮するのでしょうか? そして、自動化以外に何をもたらしてくれるのでしょうか? ここではその「本音」の部分を紐解いていきます。

基礎知識:RPAとプロセスマイニングの違い

本題に入る前に、まずは両者の定義を整理しておきましょう。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

ボタンのクリック、データのコピー、フォーム入力など、ユーザーインターフェース上での人間の操作を模倣するソフトウェアロボットです。

  • 役割: UIレベルでルールに基づいた定型作業を自動化する
  • インプット: 定義された手順とルール
  • 強み: 深いシステム統合なしで複数のアプリをまたいで動作できる
  • 限界: 曖昧な判断が必要なケースや例外には対応できない
プロセスマイニング

ITシステムのイベントログを活用し、実際の業務の流れを可視化します。「こうあるべき」ではなく「事実としてのプロセス」を明らかにします。

  • 役割: 実際の業務プロセスを発見、可視化、モニタリング、分析する
  • インプット: ケースID、アクティビティ、タイムスタンプを含むイベントログ
  • 強み: 例外処理、ボトルネック、現場独自の回避策など全体像を解明する
  • 限界: 構造化されたイベントデータへのアクセスが必要

より詳しい解説は、プロセスマイニングとは何か についてのガイドをご覧ください。

プロセスマイニングが真に自動化を支える場面

公平に見て、プロセスマイニングが自動化の取り組みに大きな価値をもたらすシナリオも確かに存在します。

  • 隠れた重複作業の発見 — 複数のチームやシステムをまたぐ繰り返しのパターンは、現場の視点だけでは見えません。プロセスマイニングなら「同じデータが3つの部署で入力されている」といった事実や、特定の引き継ぎが必ず手戻りを発生させている状況をあぶり出せます。
  • ビジネスケースの定量化 — 「この作業は自動化できそうだ」という予感を、具体的な数字に変えられます。発生頻度、所要時間、一件あたりのコスト。これらのデータにより、曖昧な提案を説得力のあるROI(投資対効果)計算へと昇華させます。
  • 導入後の効果検証 — ボットが稼働を開始した後に何が起きているか? プロセスマイニングなら継続的にモニタリング可能です。ボットが期待通りに動いているか、新たなボトルネックを生んでいないか、プロセス全体がどう変化したかを可視化します。
  • 「自動化すべきでない場所」の特定 — 自動化に適していると思われたタスクが、実は例外処理だらけだったり、高度な判断を要したり、発生頻度が極端に低かったりすることが判明する場合があります。予算をどこに使わないかを知ることは、どこに使うかを知るのと同じくらい重要です。

より広い視野で

もし自動化のタスク探しのためだけにプロセスマイニングを導入するなら、それは十徳ナイフを爪楊枝として使っているようなものです。プロセスマイニングは、発見、適合性チェック、モニタリング、最適化というサイクル全体で価値を発揮します。自動化の候補探しは、その中の一つの機能に過ぎません。

正直に言いましょう:自動化のためにプロセスマイニングが常に必要とは限りません

多くのベンダーのブログでは語られない不都合な真実があります。それは、「自動化したいタスクがすでに分かっているなら、プロセスマイニングは過剰投資になる可能性がある」ということです。

プロセスマイニングには相応の投資が必要です。データの抽出、準備、組織的な合意、そして分析スキル。価値を引き出すには、時間と労力がかかります。

もし自動化の対象が明確なら、現場の担当者とワークショップを数回行うだけで、十分なリストができあがるはずです。プロセスマイニングへの投資は、より複雑な課題に取り組む準備ができた時のために取っておきましょう。

「見えている」自動化にプロセスマイニングを使わないでください。 例えば経理チームが「毎日4時間かけてメールからERPにデータを転記している」と分かっているなら、黙ってそれを自動化しましょう。誰もが知っている事実を確認するためにイベントログを分析する必要はありません。

プロセスマイニングが真価を発揮するのは、複数のプロセスパターンが混在していたり、予期せぬボトルネックがあったり、コンプライアンス上の懸念がある場合、あるいは変更によるエンドツーエンドの影響を把握したいときなど、状況が複雑な場合です。

プロセスマイニングの価値は、自動化の候補探しだけではない

「RPAのためのプロセスマイニング」という文脈で見落とされがちなのがここです。自動化の発見は副次的なメリットに過ぎず、本来の目的ではありません。

  • 継続的なプロセスモニタリング — 分析して終わりではありません。サイクルタイムは改善しているか? 規定外の処理が増えていないか? 新しいルールは守られているか? プロセスマイニングなら、生きたダッシュボードで現状を常に把握できます。詳細は継続的モニタリングのガイド へ。
  • 適合性チェック(Conformance Checking) — 「あるべき姿」と「実際の動き」を比較します。これはコンプライアンスや監査、ガバナンスにおいて重要です。どれだけRPAを導入しても、プロセス自体がルールから外れていては意味がありません。
  • 根本原因分析 — なぜ注文の30%が遅延しているのか? プロセスマイニングを使えば、特定の仕入先、地域、チーム、あるいは特定の作業パターンとの相関関係を特定できます。この洞察は、自動化よりも「プロセスの再設計」につながることが多いです。
  • プロセスの改善と再設計 — 最大の効果は、壊れたプロセスを自動化することではなく、プロセスそのものを変えることから生まれます。ステップの簡素化、廃止、引き継ぎの削減、不要な承認フローの削除など、どこをどう変えるべきかが明確になります。
  • プロセスシミュレーションProcessMind では、変更を適用する前にそのインパクトをモデル化してシミュレーションできます。現状を闇雲に自動化するよりも、はるかに強力なアプローチです。

自動化は第一の解決策ではなく、最終手段であるべきです。 まずプロセスを再設計し、その上で残ったものを自動化しましょう。

よくある誤解を解く

プロセスマイニングと自動化については、いくつかの誤解が広まっています。それらを整理しておきましょう。

誤解1:「プロセスマイニングが自動化プランを勝手に作ってくれる」

そんなことはありません。プロセスマイニングは現状を映し出す鏡です。非効率な部分やボトルネック、逸脱を可視化はしてくれますが、それをどう解釈し、何を自動化し、何を再設計するかを判断するのは人間です。「ボタン一つで自動化のチャンスを特定」という謳い文句には注意が必要です。

誤解2:「RPAのプロセス自体をマイニングするのが有効だ」

自動化済みのRPAプロセスを分析するのは一見理にかなっていますが、あまり意味はありません。ボットはプログラム通りに動くだけで、隠された謎はないからです。ボットに問題があればエラーが出るだけです。価値があるのは、ボットの「外側」にあるプロセス全体を分析することです。

誤解3:「自動化プロジェクトの前には必ずプロセスマイニングが必要だ」

必ずしもそうではありません。シンプルで明確な対象なら、すぐに自動化を進めて構いません。プロセスマイニングが役立つのは、一つのチームの視点だけでは全体像が見えない、複雑で部門をまたぐプロセスの時です。

誤解4:「自動化とプロセスマイニングは同じデータ権限でOK」

違います。RPAはUIレベルで動作し、画面操作の権限があれば足ります。一方、プロセスマイニングはバックエンドシステムの構造化されたイベントログを必要とします。RPAは表面的な操作、プロセスマイニングはデータベースやデータウェアハウスへの接続。必要なスキルもアクセス権も、担当チームも異なることが多いのです。

RPAとプロセスマイニングを同時に進めるなら、部門間の調整が必要です。「何をスクリプト化できるか」という考え方と、「実際に何が起きているか」という視点の違いを理解し、体制やインフラを整える必要があります。

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ベンダー選び:オールインワンか、ベストオブブリードか

一つのプラットフォームでRPAとプロセスマイニングの両方を提供するベンダーもいます(RPAから始まり、後にマイニングを追加したUiPathなど)。一方、Celonisのようにプロセスマイニングを核とし、自動化ベンダーと連携するスタイルもあります。どちらのアプローチにもメリットとデメリットがあります。

オールインワン型
メリット:

  • 分析結果から自動化ワークフローへの連携がスムーズ
  • 窓口や契約が一本化される
  • 統一されたUIで利用できる

デメリット:

  • 自動化バイアス:プロセスの再設計が最善であっても、ツールが自動化へと誘導しがち
  • ベンダーロックイン:片方を変えようとすると、すべて入れ替えが必要になる
  • どちらかが「そこそこ」の性能になりがちで、両方で最高クラスを求めるのは難しい

ベストオブブリード型
メリット:

  • 各分野で最強のツールを選択できる
  • ニーズの変化に合わせてコンポーネントを柔軟に入れ替えられる
  • 解決策のタイプに偏りがない

デメリット:

  • システム連携に手間がかかる
  • 複数のベンダー管理が必要

詳細な比較については、こちらのUiPath vs. ProcessMind 分析 をご覧ください。

多くの組織にとって、長期的な柔軟性は非常に重要です。プロセスマイニングと自動化は役割が異なります。導入当初の便利さだけで特定のベンダーに縛られてしまうと、数年後にニーズが変わったときに足枷になりかねません。ProcessMind はあらゆる自動化スタックと連携できるよう設計されており、お客様の知見が特定のRPAベンダーに縛られることはありません。

実践的なアプローチ:プロセスマイニング+自動化を成功させる手順

自動化戦略をサポートするためにプロセスマイニングを活用したいなら、よくある罠を避けるための実践的なステップがこちらです。

1. 現状把握

まずは現状をマイニング。ボトルネック、コンプライアンス上の問題、手戻り、不要な引き継ぎを特定します。

2. 先に改善

問題ごとに「プロセスを変えれば解決するか?」を考えます。ステップ自体をなくす方が、ロボットを作るより安上がりです。

3. その後に自動化

改善後に残った、ルールに基づいた大量の定型業務を自動化します。これで「きれいなプロセス」を自動化できます。

4. モニタリング

人の作業、自動化された作業、引き継ぎを含めた全体を追跡。問題を早期発見するためのフィードバックループを作ります。

5. 繰り返し

プロセスは変化し、要件も変わります。常にマイニングとモニタリングを続け、改善のサイクルを回しましょう。

ステップ4の詳細については、こちらの継続的なプロセスモニタリングのガイド をご覧ください。

よくある落とし穴

問題のあるプロセスを自動化しても、問題がより速く起きるようになるだけです。常に「改善が先、自動化は後」です。成功している企業は、自動化を目的としてではなく、プロセス改善のためのツールボックスにある一つの手段として捉えています。

ProcessMind:ビジネスプロセス・インテリジェンス・プラットフォーム

ProcessMind は、プロセスマイニング、モデリング、シミュレーションを統合した、セルフサービス型の次世代プラットフォームです。以下のことが可能になります:

  • 発見: データに基づき、実際のプロセスの動きをありのままに可視化
  • 分析: インタラクティブなダッシュボードでボトルネックや逸脱、根本原因を特定
  • 設計: BPMN 2.0準拠のツールで改善後のプロセスをデザイン
  • シミュレーション: 変更実施前にその効果を予測し、リスクを最小化
  • モニタリング: プロセスのパフォーマンスを継続的に監視し、改善効果を定着

自動化を予定しているかどうかにかかわらず、ProcessMindは業務改善のための確かな判断材料を提供します。そして、いざ自動化が必要になったときには、根拠となるデータと、その成果を検証するための確かな仕組みがすでに手元にあるはずです。

貴社のプロセスで「実際に何が起きているか」、確かめてみませんか?


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