なぜ市販コネクタを使わないのか—私たちの代替策

要点

データ抽出にかける時間が、インサイトを得るまでの時間を上回ってはいけません。なぜ私たちがあえて標準コネクタ(out-of-the-box)を使わないのか、そしてデータテンプレート方式が価値創出までの時間をどう短縮するのかを解説します。

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プロセスマイニングにデータは不可欠——でも、やり方を間違えがち

「プロセスマイニングの仕事の80%はデータだ」。

よく聞く話です。私たちも身をもって経験しました。ですが不都合な真実があります。「データが8割」は自然法則ではなく、進め方を誤っているサインです。

データ抽出が数ヶ月の大仕事になっているなら、どこかで道を外しています。プロセスマイニングの目的は完璧なデータパイプラインではありません。インサイトです。請求書が誰にも見られず12日も滞留している、と気づくこと。システム設定の不備で40%の受注が手作業対応になっている、と突き止めること。

データは手段であって目的ではありません。

では、なぜ多くのプロセスマイニングのプロジェクトがデータ準備で立ち往生するのか。しばしば原因は最初の選択、つまり標準コネクタ(out-of-the-box)を選ぶことにあります。

標準コネクタの約束

公平に言いましょう。この約束は魅力的です。

標準コネクタ(out-of-the-box)は、SAP、Salesforce、ServiceNow、Oracleなどからプロセスデータを抽出できると謳う事前構築の連携です。売り文句はこんな感じです。

  • システムを指定する
  • ボタンを押す
  • 完璧に整形されたデータが現れる
  • 日次の自動更新を設定する
  • 完了
ERPシステムからProcess Miningツールへデータを抽出する標準コネクタのイメージ図

理想の世界なら、これは確かに変革的でしょう。実際、デモではうまく動くのも見てきました。シンプルな“バニラ”構成の本番環境なら動くこともあります。

ただし現実は違います。あなたの会社はデモ環境ではありません。

現実チェック

私たちは長年、企業のプロセスマイニングを支援してきました。うまくいく方法、そうでない方法を見てきました。そして何度も、標準コネクタが解決以上に問題を生む場面を目撃しています。

1年かかる「クイックセットアップ」

あるお客様は、ベンダーの SAP コネクタに期待してプロセスマイニングを始めました。「最初のインサイトまで3週間」と約束されて。

18カ月後も、データ品質の不具合をデバッグしていました。

これは例外ではありません。コネクタのプロジェクトが1年以上も長引き、予算と熱意を等しく消耗させる――そんな現場を何度も見てきました。営業トークでは「簡単」でも、現実にぶつかるとまったく簡単ではないのです。

現場でコネクタがつまずく理由

  • あなたのシステムは「標準」ではない。 コネクタは特定ソフトの特定バージョン向けに作られます。しかし企業はカスタマイズします。フィールドを足し、ワークフローを変え、テーブル構造もいじる。今動いている ERP は、この10年の意思決定の積み重ねで形作られた「生きたシステム」。コネクタは教科書どおりの環境を想定しますが、現場はそうではありません。

  • 全部入りを狙って過剰に複雑。 あらゆるプロセスマイニングのユースケースを網羅しようとするコネクタは、信じられないほど複雑になります。あなたが遭遇しないレアケースまで支える一方で、本当に必要な分析が抜け落ちることも。万能設計は、価値を生まない複雑さとの戦いを強います。

  • 多テーブルという迷路。 たしかに複数のソーステーブルを扱えるのは強力です。とはいえ、関係の設計と保守は骨が折れます。業務プロセスだけでなく、コネクタのデータモデル、ソース側のデータモデル、そして両者のマッピングまで理解が必要。モデルだらけです。

  • ブラックボックスは不信を生む。 コネクタで不具合が起きる(そして必ず何かは起きます)と、中身を見て原因を特定できません。ソースのデータが違うのか、コネクタの変換か、設定ミスか。手探りのデバッグは全員にストレスで、関係者へ結果を説明するのもほぼ不可能です。

  • 二重作業。 皮肉なことに、多くの組織にはすでにクリーンで準備済みのデータがデータウェアハウスやデータレイクに存在します。データエンジニアが年月をかけてパイプラインを整備し、品質問題を解消し、信頼できるデータセットを作ってきたのに、コネクタはそれを無視してゼロからやり直し、社内で信頼されているデータと矛盾を生むことすらあります。

  • 名前が汎用すぎて現場が混乱。 コネクタは標準化された用語を使いますが、自社の言い回しと合わないことが多い。コネクタが「Order Confirmation」と呼ぶものを、現場は「Sales Acknowledgment」と呼んでいる――その時点で毎回“翻訳レイヤー”が発生し、会話のスピードが落ちます。

  • ETL の罠。 多くのコネクタはベンダー製の ETL ツール群の利用を前提にします。独自機能を学び、特定ベンダーに依存し、他ツールに転用できないスキルが増える一方。社内にはすでに ETL 基盤と人材があるのに、です。

  • 意図されたベンダーロックイン。 率直に言えば、複雑で専用的なデータパイプラインは、ベンダー側にとって「仕様」です。6カ月かけてコネクタ前提の基盤を作ってしまえば、別ツールに乗り換えるコストは跳ね上がる――偶然ではありません。

見えにくいコスト

技術的な課題だけでなく、コネクタ方式には現実的なコストが伴います。

  • 時間: 分析ではなく抽出作業に何カ月も費やす
  • 費用: コネクタの高額ライセンスと、初期設定のコンサル費用
  • 機会: パイプライン構築中にプロセス改善が先送りになる
  • 士気: データ対応で停滞し、チームの熱が冷める
  • 信頼: 初回プロジェクトが長引き、プロセスマイニングの価値が疑われる
市販コネクタに潜む隠れコストのイラスト

私たちのアプローチ:データテンプレート

私たちは別の道を選びました。コネクタを作り込む代わりに、データテンプレートを用意しました。

発想はシンプルです。プロセスに寄り添い、作成しやすい形式で、必要なデータを明確に指定する。

まずは Excel から

本当に、Excel で始められます。

イベントログが初めての方へ: プロセスマイニングのイベントログの作り方 では、Excel と SQL の例を交えて、最初のイベントログをステップごとに作成できます。

当社のデータテンプレートは、分析ごとに必要な列を明確に定義しています。多くのプロセスでは、ケース ID、タイムスタンプ、アクティビティ名に、ビジネスにとって重要な属性をいくつか足せば十分です。

今日から自分で作れます。IT の順番待ちも、調達プロセスも、コンサルのアサインも不要。システムからデータをエクスポートし、テンプレートの形に並べてアップロード。すぐにプロセスの分析が始められます。

完璧か? いいえ。速いか? もちろんです。プロセスを理解する段階では、完璧さよりスピードが大事です。

なぜ単一テーブル方式なのか

私たちは多くの分析で、意図的に単一テーブルのフォーマットを採用しています。一見制約に見えても、理由は明快です。

  1. わかりやすい: スプレッドシートを見れば誰でも状況をつかめる
  2. 作りやすい: 複雑な結合やリレーション管理が不要
  3. 結局ツールもやっている: 複数テーブルを取り込むツールでも、分析のために最終的にはイベントログに統合する

ProcessMind では複数テーブルも扱えます。視点の違い、別プロセス、オブジェクトセントリックなアプローチまで。ただ、最初からそこに飛び込む必要はありません。まずはシンプルに始め、価値が出るところにだけ複雑さを足しましょう。

データチームと組んで進める

私たちの経験上、コネクタ方式はしばしば社内のデータエンジニアを素通りします。これは誤りです。

社内のデータチームはシステムを知り尽くしています。どこにデータ品質の課題があるか、どのフィールドを信頼すべきか、どれを検証すべきか。コネクタが直面する問題の多くは、彼らがすでに解いています。

当社のデータテンプレートは共通言語になります。テンプレートをデータエンジニアに渡せば、必要なものがすぐに伝わります。彼らは慣れたツール――SQL、既存の ETL プラットフォーム、データウェアハウス――で、必要なデータを正確に生成できます。

新しいシステムを覚える必要はありません。ベンダー独自のトレーニングも不要。経験あるデータ人材がすばやく応えられる、明快な要件だけを提示します。

今ある資産を最大限に活かす

多くの組織には、すでに十分なデータ基盤があります。

  • クレンジングと検証を済ませたデータウェアハウス
  • 情報を確実に流す ETL パイプライン
  • 長期の履歴を蓄えたデータレイク
  • 実績あるクエリが揃った BI ツール

テンプレート方式なら、これらをそのまま活かせます。あるものを作り直す必要はありません。並行して別のデータパイプラインを作る必要もありません。これまでの投資を無駄にしないで済みます。

さらに、プロセスマイニングのために整えたデータは他でも再利用できます。データセットを一度作れば、プロセスマイニング、機械学習、従来の BI、そして次に来るものまで横展開できます。これが効率です。

AIで広がる柔軟性

テンプレートが明快でも、データが常に理想的な形で届くとは限りません。そこでProcessMindにはAIベースのデータマッピングを備えています。

データをアップロードすれば、多くの場合システムが自動で理解します。どの列がケースIDか、どれがタイムスタンプか、どれにアクティビティ名が入っているかを判別します。もし誤ってマップされた箇所があっても、数クリックで手直し可能です。

目指しているのは、あなたとインサイトの間にある摩擦を取り除くことです。

AIによるデータマッピングでプロセスマイニングのイベントログ準備を簡素化するイメージ図

BPMNベースのProcess Mining:データ品質の強み

プロセスマイニングにおけるデータ要件は、手法によって大きく異なります。

従来の純粋なデータ駆動型のツールは、イベントログからプロセスのすべてを推論する必要があります。あらゆるGateway、判断ポイント、並行パスがデータに正しく記録されていなければなりません。データに欠損や不備があると、アルゴリズムは苦戦し、誤解を招く結果を出すこともあります。

BPMNベースのプロセスマイニングはアプローチが異なります。 プロセス構造をモデルで定義するため、データの抜けをより寛容に扱えます。イベントが一部欠けていても分析が破綻しにくく、純粋なデータ駆動型にはない文脈をモデルが補ってくれます。

現実のデータはきれいではありません。だからこそ私たちはBPMNモデリングをProcessMindの中心に据えています。ツールは現実に寄り添って動くべきです。

データ更新を賢く見直す

毎日更新 vs. スマート更新

「リアルタイム更新」は営業資料では魅力的に聞こえます。でも、日次更新が分析に与える現実的な影響を考えてみてください。

  • 的が動く: データセットが常に変化し、ベースライン設定や改善効果の追跡が難しくなる
  • 複雑性の増大: リアルタイムのパイプライン維持には継続的な運用と監視が必要
  • コスト増: 継続的な処理は、継続的なクラウドのコンピュート費用を生む
  • 分析の難易度上昇: 「今週 vs. 先週」の比較も、今週の数字が変わり続けると複雑化する

多くのプロセスマイニング用途では、安定したデータセットを定期的に分析する方が有効です。月次や四半期で実行し、比較ポイントを明確にし、変更の効果を固定したベースラインで測定しましょう。

テクノロジー的に常時更新できるからではなく、分析サイクルに合わせて更新してください。労力はパイプラインの保守ではなく、インサイトと改善に投資しましょう。

はじめ方:実務で使える進め方

プロセスマイニングのデータ準備は、次のステップで進めるのが近道です。

  1. まず目的を決める。 どんな問いに答えたいのか?どんな改善を狙うのか?

  2. 使えるデータを洗い出す。 既にDWH(データウェアハウス)にあるものは?いまシステムからエクスポートできるものは?手の届くところから始めましょう。

  3. テンプレートを使う。 継続的な業務改善ガイドから該当テンプレートをダウンロード。形式はシンプルで説明も明確です。

  4. まずはExcelで始める。 データをエクスポートし、テンプレートに合わせて整形してアップロード。数ヶ月ではなく、1時間もあればインサイトが得られます。

  5. 反復する。 最初のデータセットは完璧でなくて大丈夫。足りない点を学び、データを改善して再実行。1サイクルは数日単位で回せます。

  6. 自動化は後から。 必要なデータが明確になり価値が実証できてから自動化を検討。データチームと協力し、慣れたツールで持続可能なパイプラインを構築します。

  7. シンプルを貫く。 余計な複雑さは後回しに。データ源や変換が増えるほど、保守負荷と障害箇所が増えます。

本当に注力すべきこと

プロセスマイニングの成功はテクノロジーだけで決まりません。複雑なコネクタ基盤を売るベンダーは違うと言うかもしれませんが、私たちの経験は逆です。

大事なのは次のことです。

  • 明確な問い: 何を学びたいのかを定義する
  • 良質なコミュニケーション: データチームと効果的に協働する
  • 素早い反復: 迅速にインサイトへ到達し、学び、改善する
  • ビジネス重視: データはプロセス理解の手段であって目的ではないと忘れない

プロセスマイニングで成功する組織は、必ずしも最先端のデータ基盤を持つ組織ではありません。ビジネス成果に集中し、データ抽出そのものを目的化しない組織です。

さあ、はじめましょう

ProcessMindはこの原則に基づいて設計されています。必要データはシンプル。価値創出までが速い。主導権はあなたにあります。

継続的な業務改善ガイドで、代表的なプロセスに対応したデータテンプレートを見つけてください。各ガイドには以下が含まれます。

  • プロセスのアクティビティと、取得すべきデータ
  • すぐに使えるテンプレートファイル
  • SAP、Oracle、Microsoft Dynamicsなど主要システム向けのガイダンス
  • データ準備のベストプラクティス

まずは無料トライアルでデータをアップロードしてみてください。コネクタの設定待ちがないだけで、驚くほど早くインサイトが得られます。

目的はデータ集めではなく、プロセスの理解です。もっと速く、そこにたどり着きましょう。

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